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医薬品原薬のプロセス開発に於けるシミュレーション -スケールアップ・ダウンシミュレーションー


医薬品原薬のプロセス開発に於けるシミュレーション Ver. 1

スケールアップ・ダウンシミュレーション

  ここから、お話しするのは医薬品原薬製造へ向けたシミュレーションです。

シミュレーションは実験室と製造現場を繋ぐプロセス開発で重要な役割を担っています。このシミュレーションが上手くいくかどうかで、新薬の開発計画、或いは後発品の市場への投入時期が決まると言っても過言でない。また、原薬メーカーの後発品自社開発のスケジュールを左右し、製薬メーカーによる委託選定などに影響を及ぼす。

 

医薬品開発のスケジュール


新薬の開発に於いて原薬供給スケジュールを守ることは、新薬を計画通りに上市でき、開発新薬の開発費の早期回収、次期創薬・治験薬の開発を早められ、製薬メーカーの持続性に繋がる。また、原薬メーカーに於いては、プロセス開発能力、原薬供給力の評価に繋がり、会社の信頼性と持続性に繋がる。

  

1.初めに

医薬品原薬のスケールアップ製造では、実験室で最適化された反応・その他の操作条件などを大小の反応槽などで 1) 化学的因子、2) 幾何学的因子、3) 化学工学的因子、4) 時間的因子、並びに 5)今までの経験から製造設備・機器の能力・性能・癖と言った因子を考慮に入れ、これらの因子を相似させ製造量と製造設備・機器に合わせ組上げた製造操作条件を基に製造操作がなされるべきです。

スケールアップ製造の基本は製造量を1010倍に上げ、反応槽を大きくして製造設備・機器(反応槽・付帯設備(加熱・冷却・乾燥など)の性能・能力の検証と製造操作法を検証し確立させることである。また、先輩から、治験原薬の合成反応条件を確立さえさせられれば、委託先の原薬メーカーが何とかして原薬を製造してくれると聞かされていた。自社の治験原薬を新薬開発のスケジュールに乗せるためにこれがプロセス開発と考えていた時期があった。

従って、創薬からプロセス開発を始めたころ、所属していた製薬会社だけかもしれないが、スケールアップ製造は実験室で最適化した合成法をパイロット製造(5100 L)による検証と実証を経て、治験薬製造(5003,000 L)へのスケールアップ実証製造(実験)を重ね堅牢性の高い製造操作法を作り上げ外部委託していた。しかしながら、海外の原薬メーカーは、既に、実験室でスケールアップ・ダウンシミュレーションを詳細に検討し、経験によるデータ取りと解析により~50 L から一気に~5,000 L 反応槽へ適応し原薬を製造していた。我々も、共同研究からそのノウハウを取り入れ、反応の危険性評価、熱量、撹拌、予測操作時間などによるスケールアップ及びダウンシミュレーションを実施するようになった。このシミュレーションの実施ノウハウを知ったことは、原薬会社へ移った時も身を助け非常に有益であった。このことからも、プロセス開発者は①原薬合成の仕込み・反応・抽出・濃縮・乾燥等の条件、②各工程でのクリティカルパラメータの把握とそのデータ取得、③反応の危険性・発熱量の評価と解析、④工場設備・機器の原理・性能・能力の把握、⑤適用並びに設計、製造量に合わせた製造設備・機器の選択、⑥製造操作法の最適化と堅牢性の確保、⑦原薬の品質規格(純度、不純物プロファイル、不純物量、結晶多形・サイズなど)に恒常的に適合させ収量の確保、並びに⑧GMP順守等を保証しなければならないため、製造現場、品質管理並びに品質保証部門との協働・連携することも重要です。

 

実際のスケールアップ製造に於いて、実験室と製造現場での違いによる幾つかの出来事に遭遇した。一部抜粋するが、①前工程での濃縮物の溶解速度の違い(反応槽内で溶解状態の把握が困難)、②二相反応・撹拌依存反応などの撹拌状態、③低温反応時の冷却・滴下時間の違い、④発熱反応の発熱量の増大、⑤ニトロ化反応後の中和、並びに⑥操作時間の延長による品質への影響などである。溶解速度の違いでは溶解不十分で反応が進行しなかったが、一部が反応し始め反応熱により溶解が進み始め反応が一気に進行し暴走、発熱増大で冷却が間に合わないため反応槽から噴出した。ニトロ化後の反応液の中和反応で激しい発熱により作業時間が増大した。また、反応中間体の分解、濃縮時間の延長による原薬の分解・着色などなどが生じる経験をした。これらの経験から、シミュレーションの重要性が更に身に沁みることとなった。これらのスケールアップ製造時に生じるイベントが実験室で予測、検討、把握、検証出来ていれば、製造量に合わせた製造設備・機器の選択、製造操作法の最適化と適用などの精度が高くなる。スケールアップ製造の向上と不意のイベント等を予測して削減できる。更には、原薬の品質、製造量などを保証し、危険性の低減、開発期間の短縮等に繋げられる。

転ばぬ先の杖ではないが、スケールアップ製造する前にスケールアップ及びスケールダウンシミュレーションを実施することは、時間が掛かるかもしれないが、プロセス開発を効率的に進める技術であると考えている。この様に、プロセス開発者はスケールアップ製造時に生じるイベントを化学的・化学工学的・時間的に予測、分析し、幾何学的相似形反応槽を用いたシミュレーション実験により再現と回避条件の考察と使用する製造反応槽へ適応させる相似条件を見出す能力を持っておくべきである。

 

2.シミュレーションとは

 スケールアップ製造は実験室の反応器内の状態をスケールアップ後の反応槽内で忠実に再現出来れば怖くないとよく言われる。 大半のプロセス開発者は、医薬品原薬のプロセス開発の中で製造現場へのスケールアップ時に経験とか、勘などで知らず知らずに断片的にシミュレーションを行っていたが、幾何学的因子・化学工学因子を踏まえて実施していなかったと思っています(但し、一部の大手製薬・原薬メーカーではすでに実施していたと聞いていた)。

 例えば、反応時の温度維持や撹拌状態の再現などは目的物(原薬)の品質を担保する上で非常に重要であるが、スケールアプに於いて容積(反応液量)は3乗で、ジャケット面積(ジャケット:媒体と反応液が接触面積)は2乗でしか増加しないことから実験室と同じ媒体(外)温度では「単位体積当たりの熱量一定」に温度制御が出来ないし、撹拌状態もスケールアップ前後で同じ撹拌数では「単位体積当たりの撹拌動力一定」に出来ない。

     では、どの様にすれば実験室の状態を製造現場の反応槽で再現できるのでしょうか。

 それは、 先ず、実験装置(機器)と製造実機の原理・性能・能力などの違いを理解することから始まる。

 一般的な実験室での実験機器と工程操作


製造現場での製造装置と製造操作


 スケールアップ製造(合成)で最も品質に影響を与える操作は反応工程ですが、処理量の違いから操作時間が異なることから抽出・精製、濃縮および乾燥操作も影響を与えます。また、反応槽内で起こる化学反応は、現場製造でのスケールアップに於いて製造設備(特に、反応槽)のサイズ・形状・原理などの違いにより 1) 化学因子、2) 幾何学的因子、3) 化学工学因子、4) 時間因子などの因子によって支配される。

 

医薬品原薬製造スケールアップでの影響因子への対応    

1) 化学因子:

 反応には発熱・吸熱反応、温度依存(低温・高温)反応、二相反応、撹拌に影響される反応などがあるが、先ずは、工程の反応様式(反応機構を含め)を知ることである。反応条件は反応様式からクリティカルな反応条件を抽出し、検証と最適化して操作範囲として設定し、大小の反応槽で反応速度・状態等を相似させる必要がある。そのためには、反応混合液(主原料・副原料・試薬・触媒・溶媒等を含む流体)中の組成比と濃度、触媒サイズ、反応温度、反応圧、撹拌(物質の流れ)状態などを一定(示強的数値は変更しない)にする必要がある。

プロセスパラメータの示量的数値と示強的数値

示量的数値

(スケールアップ時に変更すべき数値)

示強的数

(スケールアップ時に変更してはいけない数値)

仕込み化合物(主原料、副原料、試薬、触媒、溶媒等)の質量

仕込み化合物(主原料、副原料、試薬、触媒、溶媒等)の重量(モル)比

溶媒(反応・洗浄用)の容量

反応・抽出・晶析時等の溶液濃度

撹拌数

温度、圧力、撹拌状態(効果)

ジャケット内の熱媒・冷媒温度

晶析時の冷却速度

熱安定性等による品質への影響が担保された操作時間*

熱安定性等による品質への影響が担保されていない操作時間*

操作時間は、熱安定性のデータを取得した時間内或いはプロセス開発時に操作した時間内の変更は可能です

操作時間は、一般的には設定しないが、各操作の予測時間と熱安定性・不純物プロファイルに関するデータが無い時は変更してはいけない

操作時間は、熱安定性のデータを取得した時間内或いはプロセス開発時に操作した時間内の変更は可能です

操作時間は、一般的には設定しないが、各操作の予測時間と熱安定性・不純物プロファイルに関するデータが無い時は変更してはいけない

* 操作時間は、一般的に標準製造法に設定しないが、スケールに合わせて増大することから操作中の熱安定性が問題となる。

 但し、量に関してはスケールに合わせて変更する(示量的数値)。反応を含む操作条件の設定に当たっては、条件を逸脱しないように最適値を中央値とし幅を持って操作範囲を設定し、その上限及び下限値に安全域を持たせる。この様にして、化学因子による大小の反応槽での差異が無いようにスケールアップする。

操作設定範囲の考え方



2) 幾何学因子:

 反応槽・撹拌翼・バッフル等の形状・サイズの違いは物質の流れに影響する。物質の流れが異なると混合速度・均一性に影響を受ける。従って、反応槽内の物質の流れを相似(近似)させために(単位体積当たりの撹拌動力一定)、使用予定反応槽の幾何学的相似形反応器を用いて実験室でシミュレーション実験するする必要がある。反応槽の形状が同じであれば物質の流れは相似させ易い。

 実験室からの製造反応槽へのスケールアップ方法

 

 但し、スケールアップにより容量(体積)は3乗で増大するが、表面積は2乗でした増大しない。従って、スケールアップシミュレーションの実施に当たっては、反応槽と反応翼の形状(槽及び翼の直径(Dd)と高さ(H h)の比)、仕込み率、ジャケット面積と槽容積比率などを一定にした現場反応槽の幾何学的相似形小型反応器を用い仕込み一定でデータ取りが重要となる。

 幾何学的相似形反応機とは


 幾何学的相似形では、大小の反応槽の形状・サイズ(胴長/同径比一定)、撹拌翼及びバッフル等の形状・サイズ・設置位置など相対比が同じでなければならない。

 

3) 化学工学因子:

 撹拌は流体の粘度、線速度、撹拌状態などを相似させるために「単位体積当たりの撹拌動力一定」で、伝熱(加熱・冷却)は反応混合物中の温度維持と温度均一性させるために「単位体積当たりの熱量一定」で、スケールアップ予測計算し相似させる(反応濃度(粘度)が同じで撹拌により反応混合物の乱流状態が確保できればレイノルズ数などは無視できるとされている)。

単位体積当たりの「撹拌動力」及び「熱量」一定でスケールアップ



大小の反応槽の撹拌数のスケールアップ計算(撹拌時に乱流状態が確保できる場合):

     Pv (撹拌動力) = n x d2/3  n = 撹拌数(m/s(又は、min(rpm))d = 翼径(m)又は胴径)

 スケールアップ時の所要時間媒体温度計算式は(「体積当たりの熱量一定」=「任意の位置での所定温度への加熱・冷却に必要な所要時間(θ)一定」として計算する場合)

 この時、スケールアップシミュレーションとして化学工学的因子を化学工学の数学的計算をするためには、大小の反応槽の仕込み容積率は同じにさせなければならない。その時、スケールアップ予測計算が成り立つ。

 

4) 時間因子:

全ての操作時間は製造量に比例して増大し、製造設備の能力・性能によりさらに影響を受ける。製造量と製造設備の性能・能力から操作に係る時間を予測し、更に安全率を取って予測操作時間を用いたシミュレーション実験で安定性などを担保しておかなければならない。

 

予測操作時間例(1,500 ~2,000Lの反応槽を想定した時の予測操作時間)


5) その他、自社設備での経験則などに考慮したシミュレーション

 今までの経験値と自社製造現場のノウハウは非常に重要であり、個々の設備には特有の癖の様な  ものがある場合があるので、シミュレーションによる値と実際の差をデータベース化して置き、シミュ  レーション時に経験則を生かして実施することを薦める。

 

 反応を含む操作条件をスケールアップするために必要な上記の因子(特に、クリティカルパラメータ)を把握して、実験室で幾何学的相似形反応器を用いて予測した操作時間に+α時間を追加し、設定操作条件範囲の下限・上限値など最悪条件でシミュレーションを実施して、担保を取っておくことが大切である。

 

3.医薬品原薬の製造に於けるシミュレーションが大切なこと

 シミュレーションは化学プラントの大規模生産に繋げる技術として化学工学・生産工学などが発達してきた。医薬品原薬の製造に於いても、シミュレーションはバッチ式及びフロー式での撹拌・伝熱など反応に関わるパラメータの解析・スケールアップ予測等を実施する化学工学の学問・技術として発達してきた。より精密なスケールアップ予測と計算並びにスケールダウンシミュレーションを組合わせることにより、予測される製造現場の操作条件・起こりうる可能性のあるイベントなどをパイロット或いは製造設備でなく実験室で検証できるようになる。反応は撹拌状態(数)に依存する反応と依存しない反応などがある。撹拌依存型の反応に於いては、製造実機幾何学的相似形反応器或いは非幾何学的相似形反応器では同じ撹拌数であっても溶液中の物質の流れが異なる。このことから、幾何学的相似形反応器からのスケールアップシミュレーションにより製造実機の撹拌状態を合わせる撹拌数を化学工学的計算により相似させ易くなる。

 スケールアップ・ダウンシミュレーションの方法  


 シミュレーションを実施する上に於いて、実験室の反応装置(器具・容器など)と製造現場の設備・機器(反応槽など)はサイズ、形状、原理、材質などが異なる場合が多々ある。更に、製造現場では、原料、試薬、副原料、触媒などの仕込み量が増大し、有害性・危険性が増大し、作業者の安全性確保が必要となる。反応熱量計(RC)・加速速度熱量計(ARC)によるシミュレーションはもちろんのこと、各操作時間、操作原理などの違いが目的物・原薬の品質に対する影響を検証する必要がある。

  実験室で最適化した操作・反応条件をそのまま正確にトレースした場合、実験室と同等以上の結果を得る場合もあれば、得られない場合もある。以前は、経験と勘により製造現場で実験室と同等の結果が得られる場合はスケールメリット、或いは得られない場合がある。これらをスケールメリット或いはスケールデメリットと呼び、製造操作条件の最適化を行っていた。それ故に、スケールアップ製造ではリスクを最小限にするために、製造量を10倍、10倍と段階的にスケールを上げて行っていた。現在は、医薬品原薬製造は化学プラントと同様に、化学工学の予測計算、経験、並びに製造現場の設備の能力・性能に合わせてスケールアップ・スケールダウンシミュレーションを実施し、その予測精度を高めて100倍、1,000倍へと一気にスケールアップ製造へ可能になって来ている。

 スケールシミュレーションは撹拌状態、伝熱状態、操作時間、原理などの違いとスケールアップによって生じるリスクを洗い出し、それらの必要な予測計算と実験室で化学的因子、幾何学的因子並びに化学工学的因子を適合させる。次に、スケールダウンシミュレーションは、実験室で製造現場の設備・機器の幾何学的相似形装置(ミニチュア機)を用いることにより、スケールシミュレーションで予測した条件と予測計算値を用いて製造現場の製造設備・機器を実験室で再現させ検証する技術である。この様に、精度の高いシミュレーションはスケールアップ製造時に品質へ影響を与えるリスク因子の抽出と解消により最小限に抑えられる。

 

4.スケールアップ・ダウンシミュレーション

 では、スケールアップシミュレーションとして何をすればよいのであろうか?

 スケールアップシミュレーションを実施する場合は、先ず、自社或いは委託先の製造設備・機器の性能・能力(反応機・撹拌翼の形状、撹拌機の最大撹拌数、熱媒・冷媒温度とジャケット面積、最大減圧度、原理などの理解が欠かせない。

シミュレーションには、スケールアップシミュレーションとスケールダウンシミュレーションの2つがある。

 実験室での仕込みから反応・停止、抽出、濃縮、ろ過、乾燥等の操作条件を製造現場の設備機器で実施した場合の総ての差異を洗い出し、実験室で得らえた以上の原薬品質を恒常的に確保しうる製造操作条件を予測して製造現場で、最適化した製造操作条件へ補正させる技術です。

 スケールアップ・ダウンシミュレーション実施の勧め


1) スケールアップシミュレーション

スケールアップシミュレーションは実験室の実験機と製造現場の製造設備・機器の操作原理、構造・形状、運転能力などの違いを理解することから始まる。実験室で最適化した操作条件を製造スケールに合わせ使用予定の製造設備・機器の能力から必要な操作条件(仕込み・滴下・反応・停止・濃縮など)時間・撹拌数・伝熱(熱・冷媒温度)・熱安定性など)を予測する。伝熱・撹拌状態を合わせるために大小の反応槽の媒体温度、撹拌数等を化学工学の数学的計算により予測する。スケールアップシミュレーションは実験室と製造現場を繋ぐシミュレーションである。

2) スケールダウンシミュレーション

スケールダウンシミュレーションは製造現場の設備・機器の原理が同じで幾何学的相似形装置(ミニチュア機)を用いることが基本です。但し、反応以外の操作である濃縮、乾燥は原理が異なっても原理の違いを理解していれば対処できる可能性が高い。しかしながら、反応器は、製造量から使用予定の反応槽と物質の流れを相似させ化学工学の数学的計算(撹拌数など)するためにも、幾何学的相似形を用いて実施すべきです。スケールダウンシミュレーションの実施に当たっては、実験室で幾何学的相似形反応槽などを用いて、製造量に合わせたスケールアップシミュレーションにより予測した製造現場の操作条件・方法・時間等を再現させ、スケールアップ製造時に生じる可能性ある問題点・状況・状態並びにクリティカル因子等の把握と品質規格に適合した中間体・原薬が得られるかの検証と操作条件・パラメータを担保、並びに必要に応じて再予測計算と経験等から補正を行い、検証を繰り返し堅牢な製造操作法に仕上げる技術です。

但し、シミュレーションは化学に裏打ちされた技術であるが、使用方法、予測の精度、実験の質などで得られるデータに差が生じる。自社ノウハウ、経験等を加味した精度の高いシミュレーションの実施、ワーストケースを想定したシミュレーションの実施により実験室と製造現場の差を埋めることが重要となります。

これらのスケールアップ並びにダウンシミュレーションの精度が高くなればなるほど、医薬品原薬の製造現場での逸脱(失敗)が減少し、品質が保証され、プロセス開発期間の短縮を可能とさせる。一気に1,00010,000倍のスケールアップが可能になる。スケールダウンシミュレーションでは、ミニチュア機を用いて製造現場を実験室で再現し、数回(最低連続3回程度)繰返し実施して検証とワーストケースでのパラメータによる品質を担保すること、予測条件を必要に応じて補正し検証すること、製造量に合わせたスケールアップ時の再予測の実施すること、並びに危険性の回避条件と操作・反応条件に安全率の確保などを実施することである。シミュレーションの精度を高めるためには、スケールアップシミュレーションとスケールダウンシミュレーションの対話を繰り返すこと、自社のノウハウと経験を加味することです。また、シミュレーションで得たデータと実機でのデータ、並びに状況・状態等のデータベース化は予測値による品質・収量等の差異検証、今後のシミュレーション補正、並びに製造標準操作法の堅牢性の向上と操作範囲の最適化等に活かすことに繋がります。

 

最後に、Ver.. 1として記載しました。本内容は諸先輩・専門家からのご教授とシミュレーションを実施してスケールアップ製造で得た知見をまとめたものです。理解不足、間違い等があるかもしれませんので、参考程度になれば幸いです。


















































































































































































































































































































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