医薬品原薬のプロセス開発に於ける考え方とスケールアップ 医薬品製造原薬のスケールアップ製造で大切なことは、多くの方々が述べている様にプロセス開発(実験室・パイロットプラント)時に最適化された操作条件を基に製造現場の実機で忠実に再現することです。しかしながら、製造実機でプロセス開発の操作条件を忠実に再現しようとしてもスケール・形状・原理並びに製造現場と実験室の設備・機器能力の違いからそのままでは適用が困難です。 I CH ガイドラインに Q13 ( 「原薬及び製剤の連続生産に関するガイドライン」 )のステップ 2 案が公開されています。現行のバッチ製造方式ではプロセス開発(操作条件の最適化と スケールアップへのデータ取り)、パイロットプラントでの実証、更に商業生産スケールでの実証が必要ですが、連続製造方式ではプロセス開発が単位製造設備で最適化できれば単位設備を重ねてナンバリングすることによりスケールアップが容易になります 。今後は、連続製造方式が主流になり原薬メーカーの地図が塗り替わる可能性があると考えています。 ここからお話しすることは、従来のバッチ式のスケールアップについてです。 本内容は、化学工学の素人が 40 年間創薬、医薬品原薬のプロセス開発、製造及び品質保 証で得た経験と化学工学の専門家の助言等を得ながら理解し、新薬及び後発品原薬のプロ セス開発から商業生産法を開発した経験を 「プロセス開発及びスケールアップの考え方」 としてまとめたものです。 GLP 研究から商業生産(例) スケールアップとは、実験室のデータで最適化操作条件を基に製造現場の実機で大量に 合成することですが、実験室の装置内で起こっている現象・状態を製造実機で再現し原薬 の品質目標を達成させることです。従って、大小の装置内で生じている現象・状態を支配 している因子(ファクター)を定量的に一致させることが重要となります。これらの装置 内の現象・状態を決定する因子を一致させるためには、スケールアップシミュレーション (実験機から製造実機)とスケールダウンシミュレーション(製造実機から実験機)でデ ータ解析を実施することです。それぞれのシミュレーションを実施するためには、製造現 場の実機の原理・性能・能力を理解しておくことが大切です。実験室で最適化した操作条 件を実