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医薬品原薬のプロセス開発に於ける結晶多形スペクトルの読み方

医薬品原薬の結晶多形スペクトルの読み方 本記載内容は、結晶 多形の分析の専門家でない筆者が結晶多形のプロセス開発で得た経験、文献等から得た知識並びに専門家からの助言等を、まとめたものである。従って、記載した内容に不明な点、或いは間違った理解等からの内容があるかもしれない。ただ、本内容が結晶多形に遭遇した、或いはこれから知りたいと考えている方々の取っ掛かりの一助になれば幸いである。 医薬品原薬の結晶多形は1970年前後に知られており今まで多くの報告がされているので参照されたい。また、結晶多形の各種分析法の原理は各分析装置メーカーのホームページ並びに web 上で報文等を PDF で取得できるのでそれらを参照されたい(キーワード:結晶多形、化合物名、結晶多形の分析方法、 IR 、 DSC 、粉末 X 線回折、固体 NMR 及びそれらの組み合わせ)。 目次 初めに 1. 結晶多形 ( Polymorphism ) とは? 2. 医薬品にとって結晶多形が重要であることとは 3. 結晶の性質と結晶形 4. 何故,同じ分子であっても結晶形が異なるのか? 5.  何故,同じ分子の結晶で物理化学的性質が異なるのか ? 6. 何故,結晶多形が存在するのか? 7. 結晶多形の分子 立体配座( コンフォメーション)の違いによる分子配列(パッキング)に充填様式 8. 結晶多形の分析法 9. 結晶多形の分析スペクトルの読み方 初めに 筆者は、治験薬(原薬)のプロセス開発中に結晶多形に遭遇したが、 1995 年当時は結晶多形について全く知らなかった。この時、結晶多形は特許が取得出来、原薬に関する特許が延長出来れば医薬品の独占販売期間が延長できることから、結晶多形の作製と勉強を始めた。 その時、結晶多形とは何? 何故、同じ原薬(分子)なのに溶解度が違うのか?結晶は最安定構造を取っていると思っていたのに、同じ化合物で数種類の結晶多形が存在するのか?等の疑問が湧いた。このことから、社内の結晶多形を研究していた方々にこれらの疑問と、何故、結晶多形は物理化学的性質が異なるのか? 結晶多形の見分ける方法(分析法)は? 各種分析スペクトルからどの様な情報が得られるか?等の質問をしたが、回答に最初はピンとこなかった。しかしながら、実際